CBC三部作考:序

好評のうちに完結を迎えたウルトラマンメビウス。初代マンからウルトラマン80までの世界観を継承したことで世間の注目を集め、満を持して上映した劇場版は初代マンからタロウが客演したことで喝采を浴び、そしてテレビシリーズでは過去作品の暗部に光をあて往年のファンの溜飲を下げさせた、待望のウルトラマン成功作です。

今なお人気の高い第1期(ウルトラマンウルトラセブン)と第2期(帰ってきたウルトラマンウルトラマンレオ)、そしてウルトラマン80の設定・キャラクターのミームを用いて、「きみもウルトラマンになれる」という平成ウルトラマンウルトラマンティガウルトラマンマックス)の根底に流れるテーマを継承した今作は、文字通りウルトラシリーズ集大成と呼ぶべき大作となりました。

集大成であるがゆえに過去作品が残した資産をすべて消費しようとする姿勢は、やもすると今後の新作ウルトラマンの障害になるのではという危惧を抱かせる反面、シリーズではじめて前面に打ち出した「人とウルトラマンのハートナーシップ」というテーマが、これからのウルトラマンのスタンダードとなって未来を切り開くのではと期待させてくれます。ウルトラマンメビウスは、シリーズ40周年という節目にウルトラマンが飛躍するために勝ち得た翼なのです。

名古屋CBCウルトラマンを手がけるのは、「ウルトラマンネクサス(2004年)」と「ウルトラマンマックス(2005年)」に続いて3作目です。この3作は統一したプロジェクトのもとで企画されておらず、むしろ1作目のネクサスが抱えてしまった興行的損失を補うために急遽企画されたマックスが好評を博し、その流れに乗じる形でメビウスの企画が成立したという経緯があります。

そんな裏事情を鑑みると、メビウスの成功は瓢箪から駒が出たという印象を感じるかもしれません。しかしながら僕にはネクサス、マックス、メビウスの3作品は、CBC円谷プロバンダイといった制作サイドの思惑を超越した大きな流れの中から三位一体になるべくして生まれた作品と感じられるのです。まるで、ネクサスが「骨」、マックスが「血肉」、メビウスが「翼」であるかのように。

ここではこの3作品を「CBC三部作」と称し、考察していきたいと思う次第。