Translate -結-

〈少年〉の心の葛藤は〈カタストロフ〉となって〈世界〉を浸食し、〈鬼〉対〈妖怪〉の戦いを熾烈なものとさせました。


その合間を縫って〈赤鬼〉は、〈少年〉と〈影の少年〉の指導にあたります。〈少年〉は課題を着実にこなしますが、〈影の少年〉は苦手かつ地味な課題に挫けそうになります*1


 素質を持ちながら〈鬼〉となる覚悟のできない〈少年〉。
 〈鬼〉となる覚悟を持ちながら素質で劣る〈影の少年〉。


〈少年〉の努力を認めた〈赤鬼〉は、〈神通力〉の一部を授けました。漠然とながらも「自分の〈夢〉は〈鬼〉になることではない」と気づきつつあった〈少年〉は喜んだ反面、意識下の葛藤を強めるのでした*2


一方、〈影の少年〉は、危なげながらも持ち前の一途さで〈鬼〉の道を着実に歩みます。〈少年〉への対抗意識もあったことてしょう。ですが〈夢〉に向かって猛進する〈影の少年〉を横目に、〈少年〉は〈鬼〉の修行に身が入らなくなってしまいます。ここに至って、〈少年〉ははじめて〈夢〉について本気で考えはじめたのです。


それは、〈世界〉が救われるきっかけでした。
〈少年〉の心の変化に呼応して、〈カタストロフ〉を鎮める方法が判明します。それは容易ではませんでしたが、方法はこれしかありません。〈鬼〉たちは、〈カタストロフ〉を鎮めるために、命を賭ける覚悟を決めました。


決戦間近のある日、〈赤鬼〉は修行に集中できない〈少年〉に〈鬼〉の本性を垣間見せます。文字通り鬼気迫る気迫で〈少年〉を圧倒した〈赤鬼〉は、「〈鬼〉とは人生そのもの」「人生は自分で選択しろ」と〈少年〉を突き放したのです。


そして、決戦の日が訪れました。
〈鬼〉たちは勇ましく出陣していきますが、そこに〈少年〉の姿はありません。〈少年〉は将来のために今すべきことをしようと決心していました。それは〈赤鬼〉がこれから挑む戦いや、〈少年〉が体験してきた修行に比べれば遙かに安全で容易でしたが、自分にとって大事な戦いだと〈少年〉は知っていました。これ以上、逃げ続けることはできません。


〈赤鬼〉と〈少年〉は、同じ時間、異なる場所で、それぞれの戦いに挑んだのです。


 〈赤鬼〉は〈カタストロフ〉を鎮めるために。
 〈少年〉は自分の心と向き合い、〈夢〉を見つけるために。


2つの戦いは、どちらも〈世界〉を救うために必要な儀式でした*3


つづく


響鬼Translate : [] [] [] [] [結] []

*1:〈影の少年〉の正体を〈天の邪鬼〉と定義すると、いろいろとスッキリします。とはいえ、〈影の少年〉の方が趣旨が通りやすいのでそのままとしています。

*2:ここで〈鬼〉から犠牲者(斬鬼さん)がでました。

*3:対オロチ戦は、明日夢響鬼さんが異なる戦いをするところに目的があったため、関東十一鬼結集は割愛されたのでしょう。