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<鬼の住処>には、〈赤鬼〉のほかに〈青鬼〉や〈黄鬼〉、〈青鬼〉に師事する〈子鬼〉や、綺麗なお姉さんたちがいました。彼らは皆、優しく接してくれたので、〈少年〉はみんなが大好きになりました。
そのため〈少年〉は、〈鬼〉の住処へ足繁く通いました。〈赤鬼〉の近くにいれば、自分も逞しく成長できる気がしたし、何よりそこはとても居心地がよかったのです*1。
そして、半年の時が流れました。
〈少年〉は、〈赤鬼〉と共に過ごした時間が自分を成長させていると信じていました。しかしある日、些細な出来事から、〈少年〉は自分の成長量を思い知らされます。成長は僅かで、思っていた程には遠く及びません。その事実が〈少年〉を不安にさせました。
なぜ自分は〈赤鬼〉の側に居られるのだろう?
自分には、その資格がないのではないか?
〈子鬼〉の様に、〈赤鬼〉に師事すればこのまま居られる?
そのことを相談しても、〈赤鬼〉は「〈少年〉は〈少年〉のままでいいんだよ」と微笑むばかり。〈赤鬼〉の優しさが〈少年〉を更に苦しめます。
成長できない自分はこれ以上〈鬼〉の側に居てはいけない。
〈鬼〉に師事すればいいのかも分からない。
だけど、これからもずっと〈鬼〉の側に居たい。
〈少年〉の心の葛藤*2は、〈世界〉に2つの急激な変化をもたらします。
つづく。