Translate -起-

むかしむかし、あるところ*1に〈少年〉がいました。
〈少年〉は〈夢〉を持っていません。〈少年〉と同じ年頃なら、誰もがそうなのだから、当たり前です。


〈少年〉はふとしたことから〈鬼ヶ島〉へ旅にでます。〈鬼ヶ島〉は〈人の世界〉と〈鬼の世界〉をつなぐ霊地だから、不思議なことだって当たり前。〈少年〉は、〈妖怪〉に襲われ、窮地の所を〈赤鬼〉に助けられたのでした。
〈少年〉は、心身ともに逞しい〈赤鬼〉に心を奪われました。


「〈赤鬼〉の様になりたい。
 共に暮らしたら、〈赤鬼〉みたく成長できるだろうか」


それこそ、〈少年〉がはじめて抱いた〈夢〉と〈願い〉でした。
〈鬼ヶ島〉で〈鬼〉と出逢った〈少年〉の〈願い〉。〈鬼ヶ島〉の力が反応した*2のでしょうか。この日から〈世界〉は、〈少年〉の心象を投影しはじめます。


〈少年〉が旅から帰ると、なんと<鬼の住処>が近所に出現。〈少年〉の願いが〈人の世界〉と〈鬼の世界〉を結びつけてしまったのです。それはさておき、2人はすぐに仲良しになり、〈少年〉と〈赤鬼〉奇妙な関係が始まったのでした。


つづく


響鬼Translate : [] [起] [] [] [] []

*1:ウソ。時は現代、場所は東京の下町。

*2:〈少年〉が〈赤鬼〉に憧れたのと同時に、〈赤鬼〉もまた「〈少年〉の成長を見守りたい」と〈夢〉を抱いていました。〈鬼ヶ島〉で〈人〉と〈鬼〉の〈夢〉が合致したことが、〈世界〉と〈少年〉の心象を融合させる引き金となったのでしょう。